「売上管理表を作って」で完成?Gemini in Google Sheetsでできること
Googleスプレッドシートは「表を作る作業」そのものをGeminiに任せられる
Googleスプレッドシートで売上管理表や案件管理表、予算管理表などを作る場合、実際にデータを入力し始める前にも多くの準備作業があります。「どの列が必要か」を考え、見出しを作成し、必要に応じて関数を設定し、プルダウンやチェックボックスを追加し、さらに集計用のピボットテーブルやグラフを作るといった作業が必要です。
特にスプレッドシートに慣れていない人の場合、「何を管理したいか」は分かっていても、「どの列を用意すればよいのか」「どの関数を使えばよいのか」「どうすれば見やすい管理表になるのか」が分からず、表を作り始めるまでに時間がかかることがあります。
Gemini in Google Sheetsでは、こうした「表の設計から作成まで」の作業を自然な文章で依頼できます。「毎月の売上を管理できるシートを作って」「プロジェクトの進捗を管理する表を作って」「このデータからダッシュボードを作って」といった形で目的を伝えると、Geminiが必要なシート構成や処理内容を考え、スプレッドシートを作成・編集できます。
従来との大きな違い
「SUMIFの書き方を調べる」「ピボットテーブルの作り方を覚える」といった操作方法から考えるのではなく、「担当者別の売上を集計したい」「期限切れのタスクを目立たせたい」と目的を伝えるところから作業を始められます。
2026年4月には、Gemini in Google Sheetsが大幅に強化され、単発の表や数式を生成するだけではなく、複数の処理を組み合わせてスプレッドシート全体を作成・編集できるようになりました。例えば、表を作成し、関数を設定し、ピボットテーブルで集計し、さらにグラフを追加するといった一連の作業を、一つの依頼から進めることができます。
この機能は当初、米国で英語のみの提供でしたが、2026年6月18日に日本語を含む28言語へ対応が拡大しました。現在は日本語で「こういう表を作りたい」と指示しながら、スプレッドシート全体を作成・編集できます。
つまり、Googleスプレッドシートを使うために必要な知識がなくなるわけではありませんが、「操作方法を調べてから表を作る」という流れから、「欲しい結果を説明してGeminiに作業してもらい、その内容を確認する」という流れへ変えやすくなっています。
Gemini in Google Sheetsでできること
Gemini in Google Sheetsは、表や関数を一つ生成するだけの機能ではありません。現在は、スプレッドシートの作成、既存データの整理、集計、可視化、書式設定など、幅広い操作を自然言語から実行できます。
- 新しいスプレッドシートやシートをゼロから作成する
- 既存の表を編集・整理する
- 関数や数式を作成する
- データ分析やインサイトを生成する
- ピボットテーブルを作成する
- グラフやスコアカードを追加する
- 条件付き書式を設定する
- プルダウンやチェックボックスを追加する
- フィルタや並べ替えを設定する
- 行・列の追加、削除、固定などを行う
- 検索・置換や数値形式の設定を行う
- GoogleドライブやGmailの情報を参照する
- データを使った最適化タスクを実行する
| やりたいこと | Geminiへの指示例 | 実行できる処理 |
|---|---|---|
| 売上を集計したい | 担当者別の売上合計を出して | 関数・集計処理を作成 |
| 進捗を管理したい | ステータスをプルダウンにして | プルダウンを作成 |
| 遅延を見つけたい | 期限切れを目立たせて | 条件付き書式を設定 |
| 傾向を確認したい | 月別の売上推移をグラフにして | グラフを作成 |
さらに、複数の作業を一つのプロンプトへまとめることもできます。例えば、「ステータス列と優先度列をプルダウンにして、期限までの日数を計算する列を追加し、完了済みを管理するチェックボックスも作って」といった複数ステップの依頼にも対応できます。
これにより、従来であればメニューを行き来しながら一つずつ設定していた作業を、目的ベースでまとめて依頼できるようになります。
「売上管理表を作って」と頼むとどうなる?
例えばGeminiへ「日付、顧客名、商品、売上金額、担当者を管理できる売上管理表を作って」と指示すると、Geminiはその目的に合わせたシート構成を考え、必要な列を含む表を作成できます。
ここで重要なのは、利用者が「A列に日付を入れて、B列に顧客名を入れて」と細かく指示しなくてもよい点です。管理したい情報や用途を伝えることで、Gemini側がシートの構成案を考えます。
例えば、最初の指示
「月別の売上を管理したい。日付、顧客名、案件名、商品カテゴリ、売上金額、担当者、受注ステータスが分かる表を作って」
この指示をもとに基本となる売上管理表を作成した後、同じスプレッドシートに対して追加の依頼を続けることができます。
さらに追加できる指示
- 「月別売上を集計するグラフを追加して」
- 「担当者別の売上をピボットテーブルでまとめて」
- 「受注ステータスをプルダウンにして」
- 「売上100万円以上の案件を目立たせて」
- 「月別売上の合計を表示して」
このように、一度で完璧なスプレッドシートを作る必要はありません。まず基本形を作り、実際に内容を確認しながら、「ここを集計したい」「この列を追加したい」「この部分を見やすくしたい」と会話するように改善できます。
| ステップ | 依頼内容 | できあがるもの |
|---|---|---|
| 1 | 売上管理表を作って | 基本となる管理表 |
| 2 | 担当者別に集計して | ピボットテーブル |
| 3 | 月別推移をグラフにして | 売上グラフ |
| 4 | 未受注を目立たせて | 条件付き書式 |
関数名やピボットテーブルの操作方法を知らなくても、「最終的にどのような状態にしたいか」を説明することで作業を進められる点が、従来のスプレッドシート作成との大きな違いです。
Geminiでスプレッドシートを作成する基本手順
Gemini in Google Sheetsでは、作りたいスプレッドシートを文章で伝え、Geminiが提示した構成や処理内容を確認しながら作成を進めます。最初からセル単位で設計するよりも、まず用途や完成イメージを伝えることがポイントです。
1.Googleスプレッドシートを開く
対象アカウントでGoogleスプレッドシートを開きます。対応している環境では右側にGeminiの「Build」サイドパネルが表示され、ここから新しいシートの作成や既存シートの編集を依頼できます。
2.作りたい表を文章で指示する
「プロジェクト管理表を作って。タスク、担当者、期限、ステータス、優先度を管理したい」のように、用途と必要な項目を入力します。
「管理表を作って」だけでも利用できますが、利用目的、管理したい項目、集計したい内容などを具体的に伝えるほど、目的に近い結果を得やすくなります。
3.Geminiが作った構成案を確認する
Geminiは実行前に、作成するシートの計画やテンプレート構成を提示します。必要な情報が不足している場合には追加の質問が表示されることもあります。
この段階で、「担当部署も追加して」「予算列はいらない」「ステータスは未着手・進行中・完了にして」など、追加条件を伝えることができます。
4.必要ならソースを追加する
必要に応じてGoogleドライブ内のファイルなどをソースとして追加し、その内容を参考にスプレッドシートを作成できます。ゼロから表を作るだけでなく、既存資料をもとに管理表や分析用シートを構成したい場合にも利用できます。
5.作成内容を確認して実行する
Geminiが提示した計画や構成を確認し、問題がなければ作成を進めます。既存シートに対する編集では、操作内容のプレビューカードが表示される場合があり、内容を確認してから適用できます。
6.生成後に追加指示で調整する
完成したシートを見ながら、「予算超過を目立たせて」「ステータスをプルダウンにして」「月別グラフを追加して」など追加の編集を依頼できます。
基本の流れ
用途を伝える → Geminiが構成を提案 → 内容を確認 → 必要ならソースを追加 → シートを作成 → 追加指示で改善
最初のプロンプトだけですべてを指定しようとするよりも、Geminiが作ったシートを確認しながら段階的に改善する方が、実際の業務に合ったスプレッドシートを作りやすくなります。
そのまま使えるプロンプト例
Gemini in Google Sheetsでは、特別な命令文を覚える必要はありません。「何を管理したいのか」「どのような結果が欲しいのか」を具体的に書くことがポイントです。
- 「月別の売上管理表を作って。顧客名、案件名、受注金額、担当者、受注日、ステータスを管理したい」
- 「タスク、担当者、期限、進捗率を管理できるプロジェクトトラッカーを作成して」
- 「この売上データを分析して、月別推移と商品カテゴリ別のグラフを作って」
- 「昨年の売上データを参考に今年の予算管理表を作って」
- 「期限切れのタスクが分かるように条件付き書式を設定して」
- 「ステータスを未着手、進行中、確認待ち、完了のプルダウンにして」
- 「担当者別の売上合計が分かるピボットテーブルを作って」
- 「完了したタスクにチェックを付けられるようチェックボックスを追加して」
プロンプトを具体的にするコツ
「表を作って」だけではなく、「何のために使う表か」「何を管理したいか」「どのように集計したいか」まで伝えると、完成イメージに近づけやすくなります。
例えば「案件管理表を作って」だけでは、必要な列が自社の運用と合わない可能性があります。「案件名、顧客名、担当者、見積金額、受注確度、次回アクション、期限を管理したい」と具体的に書くことで、業務で使いやすい構成を提案してもらいやすくなります。
さらに、「受注確度は10%、30%、50%、70%、100%のプルダウンにして」「期限を過ぎた案件は目立つようにして」と続けて指示すれば、自社の運用ルールに合わせて調整できます。
関数やピボットテーブルが苦手でも使いやすい
スプレッドシートを使いこなすうえで壁になりやすいのが、関数やピボットテーブルなどの操作です。従来は「担当者ごとの売上を集計したい」と思った場合でも、その目的を実現するためにSUMIFやSUMIFS、QUERYなど、どの関数を使えばよいのか調べる必要がありました。
さらに、関数の構文を覚え、参照するセル範囲を指定し、エラーが出れば原因を調べる必要があります。ピボットテーブルについても、行・列・値・フィルタへ何を設定すればよいのか理解していないと、思った通りの集計結果を作れない場合があります。
| 目的 | 従来考えること | Geminiへの伝え方 |
|---|---|---|
| 担当者別売上 | SUMIFなどの関数を検討 | 「担当者ごとの売上合計を出して」 |
| カテゴリ別集計 | ピボット設定を検討 | 「商品カテゴリ別に集計して」 |
| 期限超過を確認 | 条件付き書式のルールを作成 | 「期限切れを目立たせて」 |
Geminiでは、まず「何を知りたいのか」「どのような結果を表示したいのか」を自然な文章で伝えます。すると、その目的に必要な関数やピボットテーブル、書式設定などを提案・実行できます。
これは、関数やピボットテーブルを学ぶ必要が完全になくなるという意味ではありません。特に重要な集計では、どのデータをどの条件で集計しているのか理解しておくことが必要です。ただし、「やり方が分からないから作れない」という最初のハードルは大きく下げられます。
また、現在のGemini in Sheetsでは数式の生成だけでなく、データ分析やグラフ作成、ピボットテーブルの作成まで同じサイドパネルから依頼できます。そのため、「関数を作る」「集計する」「可視化する」という作業を分断せずに進めやすくなっています。
Google Workspaceの情報も利用できる
Gemini in Google Sheetsでは、シート内のデータだけでなく、GoogleドライブやGmailに保存されている情報を参照することもできます。Workspace Intelligenceが利用できる環境では、ファイル、メールなどの情報を文脈として利用しながら作業できるため、既存資料をもとに新しい表を作成する用途にも活用できます。
例えば、Driveに保存されている料金表や過去の売上資料を参照しながら予算管理表を作成したり、Gmailのメール内容を確認して情報を整理したりすることができます。
活用イメージ
- Driveにある前年の資料を参考に今年の管理表を作る
- Gmailの関連メールを要約してシートへ整理する
- 既存の料金表や実績資料をもとに分析用シートを作る
- 複数の資料を参考にしながら新しい管理フォーマットを作る
例えば新しい案件管理表を作る場合、完全にゼロから列構成を考えるのではなく、Driveに保存されている既存の案件資料を参照させ、その内容を踏まえて管理項目を検討するといった使い方ができます。
ただし、Geminiが参照できる情報はユーザーがアクセス権限を持っている範囲に限られます。また、Workspace Intelligenceや関連機能の有効化状況によって利用できる範囲が異なるため、自社環境で利用できる機能を確認する必要があります。
利用する際の注意点
Gemini in Google Sheetsは、スプレッドシート作成の手間を大きく減らせる一方で、「AIが作ったから内容も正しい」と考えるのは危険です。特に売上、予算、請求、経営指標など、数値の誤りが業務判断に影響するシートでは、人による最終確認が欠かせません。
- AIが作成した数式や集計結果は必ず確認する
- 重要な経営数値、予算、請求情報などは人が最終確認する
- 生成されたグラフが意図したデータ範囲を参照しているか確認する
- ピボットテーブルの集計条件が目的に合っているか確認する
- Excel形式のファイルよりGoogleスプレッドシート形式で利用する方が機能を活用しやすい
- 利用には対象となるGoogle WorkspaceまたはGoogle AIプランが必要
- Workspaceのスマート機能を有効にする必要がある
数式と集計結果を確認する
例えば「売上合計を出して」と依頼した場合でも、どの行までが対象になっているのか、キャンセル済み案件が含まれていないか、税抜・税込の数値が混在していないかなど、業務上の条件までは人が確認する必要があります。
グラフの元データにも注意する
Geminiが生成したグラフは見た目が分かりやすくても、元になっているデータ範囲や集計条件が目的と一致しているとは限りません。特に経営会議やクライアントへの報告資料に使用する場合は、表示されている数値の根拠を確認しましょう。
ExcelファイルはGoogle Sheets形式への変換を検討する
Googleのヘルプでも、Gemini in SheetsはGoogleスプレッドシートのネイティブファイルで最も利用しやすいと案内されています。Excel形式のファイルで利用したい場合は、必要に応じて「Googleスプレッドシートとして保存」してから利用するとよいでしょう。
重要な数字は「作らせる」だけでなく「検算する」
売上、利益、予算、請求金額などは、Geminiが作った関数や集計結果をそのまま意思決定へ使用せず、元データや計算条件と照らし合わせて確認しましょう。
対象プランと設定を確認する
スプレッドシート全体の作成・編集機能は、Business Standard/Plus、Enterprise Standard/Plus、Google AI Pro/Ultra、Google AI Pro for Education、AI Expanded Accessなどの対象プランで提供されています。また、利用するにはWorkspaceのスマート機能が有効になっている必要があります。
まとめ
Gemini in Google Sheetsを使うと、スプレッドシートをゼロから作る作業だけでなく、関数の作成、グラフの追加、ピボットテーブルによる集計、条件付き書式、プルダウン、チェックボックス、既存データの編集などを自然な文章で依頼できます。
これまでスプレッドシートを作るときは、「どの列を作るか」「どの関数を使うか」「どのメニューから設定するか」といった操作方法を理解する必要がありました。Gemini in Sheetsでは、まず「何を管理したいか」「何を知りたいか」「どのような状態にしたいか」を伝えることで、必要な処理を組み立ててもらえます。
まず試しやすい用途
- 案件管理表
- 売上管理表
- タスク・プロジェクト管理表
- 予算管理表
- 月次集計・レポート用シート
例えば、案件管理表であれば「案件名、顧客名、担当者、金額、期限、ステータスを管理したい」と伝えて基本の表を作り、その後「ステータスをプルダウンにして」「期限切れを目立たせて」「担当者別の案件数を集計して」と追加していくことができます。
売上管理表であれば、データ入力用の表を作った後に、月別集計、担当者別集計、ピボットテーブル、売上推移グラフなどを順番に追加できます。このように、最初から完成形を設計するのではなく、Geminiとやり取りしながら段階的にシートを育てられる点も便利です。
一方で、「関数が分からなくても使える」ことと、「計算結果を確認しなくてよい」ことは別です。Geminiが生成した数式、ピボットテーブル、グラフ、分析結果などが実際の業務条件と一致しているかは、人が確認する必要があります。
特に売上、利益、予算、請求など重要な数字を扱う場合は、元データや計算条件と照らし合わせて検算しましょう。Geminiはスプレッドシート操作を代行・支援する強力な機能ですが、最終的な数字の正確性まで保証するものではありません。
まずは案件管理表やタスク管理表など、正しい構造を人が判断しやすいシートから試すと使い方を理解しやすいでしょう。「関数や設定方法を覚えてから作る」のではなく、「作りたいものを説明し、生成された結果を確認しながら改善する」という使い方が、Gemini in Google Sheetsを活用するポイントです。
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